不動産価格の「相場」を知り上手に売るには

街の不動産にそれぞれ価格があり相場が形成されているイラスト
家やマンションを売りに出すとき、いくらで売りに出せば良いのでしょうか。投資目的での不動産の売買に慣れている人ならば、「相場」を踏まえた上手な価格設定ができるでしょう。しかし、一般の人にとっては、不動産売買の機会は一生のうちにそう何度も訪れるものではありませんので、どうしても手探りになってしまいます。そこで、いざ不動産を売る必要が出てきたときのために、「相場」はどうやって調べるのか、どれくらいで売るのが良いのかについて見ていきましょう。

不動産の「相場」とはどんなもの

不動産には「こういう物件なら、大体これくらいの価格で売買されている」というラインがあり、これが「相場」と言われるものです。もし相場から外れた価格で売り出されると、いつまでも売れ残ってしまったり実はもっと高値で売ることができたのではないかという後悔が生じる可能性が出てきます。

 

また、不動産相場の変動スピードはゆるやかで、株や仮想通貨のように乱高下する可能性は極めて低いです。その理由の一つとして、定期的に公表される公的な評価を指標にして、売買価格が決められ、相場が形成されるということが挙げられます。

 

例えば、国を挙げての大型イベントが開催される時期に、外国人客の受け入れや公共施設の整備事業のために建設業が活気付き、関連地域の不動産相場が大きく上昇することがあります。反対に災害などの不測な事態により、対象地域の不動産相場が下落してしまうこともあります。しかし、このような特別な要因以外では、急激な変動はほぼありませんので、基本的には現在の相場を把握することと、年単位での過去の相場の推移をつかんで将来の動きをおおむね予測することが、その方法になります。

 

加えて、対象地域で近い将来、大規模な再開発事業が計画されているとか、新たに道路がつくられる、新駅が開業するなどの不動産価格に影響するような情報はキャッチするようにします。

不動産の相場を調べる方法

インターネットで不動産相場を調べる男性のイメージイラスト

不動産の相場を知るには、主に以下の三つの方法があります。

 

・土地総合情報システム

・不動産情報ポータルサイト

・REINS(レインズ)

 

それぞれの概要と使い方について見ていきましょう。

 

【土地総合情報システム】

国土交通省が運営しているWebサイトで、一般に向けて公開されています。実際に不動産取引を行った人にアンケートを取り、その結果をエリアごとのデータベースにまとめています。「所在地」「最寄り駅と徒歩分」「取引総額」「坪単価」「面積」「形状」「接道」「取引時期」など、詳細な土地取引情報を閲覧できます。これらの情報の中に自分が売りたい土地と似た内容のものがあれば、相場を把握する手助けとなってくれます。

 

【不動産情報ポータルサイト】

不動産のあらゆる種別ごとに売買物件・賃貸物件とも、膨大な情報を集めて掲載しているWebサイトです。ポータルサイトの利用者は、希望地域や希望沿線・駅から目当ての物件種目を検索して、価格や広さ、駅からの距離などといった希望条件でさらに絞り込んでいくことができます。条件に合致した物件情報が一覧で表示され、気に入った物件については詳細ページで細かく確認できます。

 

例えば「アットホーム」では、トップページから物件を検索する導線が誰にでもわかるようにつくられていて、使いやすく情報も見やすいので、たくさんの情報の中から最新の相場をつかむのに適しています。

 

ただ、ポータルサイトに掲載されている物件情報はあくまでも販売広告であり、その表示価格は売出価格です。従って、実際の取引(成約)価格ではないことを念頭に置く必要があります。

 

【REINS(レインズ)】

「REINS(レインズ)」とは、「Real Estate Information Network System(不動産流通標準情報システム)」を略した名称で、全国の不動産情報を管理しているシステムです。国土交通大臣から指定された四つの「指定流通機構」によって運営され、各事業圏内の不動産会社が加入しています。不動産会社は、自社での取扱物件について、専任媒介以上の媒介契約を結んだものはレインズへの情報登録が義務付けられています。また成約時の情報登録も同様です。基本的には、会員である不動産会社が利用するシステムなので、一般のユーザーはシステム内の物件情報を閲覧することはできません。ただし、Web上で市場動向をまとめたデータを公開しているので、相場の参考にすることはできます(「市況レポート」「マーケットデータ」など機構ごとに名称は異なります)。

最終的には不動産会社の力が必要

自分で近隣の相場に沿った価格を設定できたとしても、やはりそれは目安に過ぎません。いくらよく似た不動産があったとしても、すべてが同じ条件の不動産というものはあり得ないからです。最終的には、売却する物件そのものの価値を個別に判断することになります。

 

不動産を売るにあたっては、まず物件の現状について正確かつ詳細に把握することが必要です。立地、接道、築年数などはもちろんのこと、内外装の状態、設備機器の使用状況、構造部の劣化状態など、細かく確認します。その上で、相場と照らして販売価格を決めていくことになります。

 

物件の確認作業は個人ではなかなかやり切れませんので、やはり専門家である不動産会社の力を借りることになります。そのためには訪問査定の依頼と、実際に媒介契約を結んで正式に販売を依頼する段階で再度細部まで見積もり査定してもらうことで、適正な値付けができるはずです。

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