住まいの「買いどき」について考えよう

住まいの「買い時」を考える様子
多くの人が、人生の中のあるタイミングで「自分の家が欲しい」と思うことがあります。でも高額な買い物ゆえに、購入に際して迷いも出てくるものです。そこで、どのようなときに家が欲しいと思うのか、本来の住まいの「買いどき」とはどのようなものなのかを探ることで、ご自身の適正な買いどきの判断につなげていただきたいと思います。

家を買うときには必ず動機・理由がある

家を買う時期は人によって異なりますが、購入をしようと思い立つ動機として多いのは、一般的に以下のような状況です。

 

結婚するから

子供が生まれるから

子供が独立して夫婦二人になるから

 

つまり、ライフステージが変わるときに家を買おうかと考える人が多いということです。ではなぜ結婚するとき、あるいは子供が生まれるときに家の購入を考えるのでしょうか。つまり理由は何なのか。例えば家族人数に合わせた丁度いい広さの家が欲しい、夫婦二人の通勤に便利な場所に住みたいといったことが挙げられます。

 

一方で、購入動機として必ずしもライフステージの変化が必要なわけではありません。シングルを志向する人にとっては、一人暮らしをより充実させるために持ち家に住みたいということも、当然の動機となります。このときの理由としては、「家賃を払い続けるなら同程度のローン返済で自分の家に住みたい」とか「将来のために資産として家を持っておきたい」などが考えられます。

 

このように人それぞれだとしても、家を購入するときには、動機・理由が必ず存在するということをまずは覚えておきましょう。

動機・理由をさらに明確にする

部屋数や広さなど暮らしに必要なことを考える

住まいを買おうと思い立つには、必ず動機・理由があることがわかりました。そして、それを出発点としてどこに住もうか、どういう家を買おうか、という具体的な住まい選びに入っていくことでしょう。

 

そのときに、「住まいの買いどき」ということを考え出すと、景気の動向とか、不動産の相場とか、あるいは金利状況などという情報に触れることになります。そうなると、本当に今買っていいのだろうか、と迷い始めるかもしれません。これらはもちろん大切な情報であり、知っておいた方がいいということはありますが、でも一番重要なのは、自分の暮らしの中で持ち家が欲しい、または必要になったという動機・理由そのものです。ですから、住まいを買おうというときには、その動機・理由をさらに明確にしましょう。

 

そうしないと、先ほどの外的な状況に最終判断を左右されることになってしまいます。例えば、「今不動産価格が上がっているそうだからもう数年待ってみよう」、「金利がまだ下がるみたいだからもう少し様子を見よう」ということで、自分や家族の本当の「買いどき」を見誤ってしまうかもしれないのです。

 

結婚をして子供が一人生まれるのを機に、持ち家に住みたいと考えたとします。そのときの具体的な購入動機・理由としては以下のようなことが考えられます。

 

・子供が生まれると手狭になるから広い家が欲しい

・近隣に子供が遊べる公園などがある場所に住みたい

・幼稚園や小学校など、子供の教育環境が整った地域に住みたい

・共働きするので保育園への送り迎えがしやすく最寄り駅も近い場所に住みたい

 

これらはすべて、現状よりもさらに豊かで幸せな暮らしを実現するためのものでしょう。逆に言えば、購入を見送れば、当面いろいろなことを我慢しながら暮らすことになります。子供に伸び伸びとさせたい幼児期や、家族が楽しく一緒にいられる小学生の時期を窮屈に過ごすことは本意ではないはずです。他の動機・理由でも、それぞれ買わないことで、大切な時期の過ごし方が変わってしまう可能性が高くなります。もちろん家を買うことだけが、幸せにつながるわけではありませんし、実際に買うときには予算面は大事になってきます。ですが、やはり最も優先される「買いどき」は、自分・家族の暮らしの在り方をこうしたいから、と考えたときではないでしょうか。

ライフプランにより一層クリアに

「買いどき」を確信するためには、きちんとした裏付けが欲しいところです。家を買う動機・理由が明確になったら、さらにライフプランを考えることで、「今買うべきか」は一層クリアになってくるはずです。

 

ライフプランを設計するときに必要な大きな要素は、世帯収入とその予測、世帯支出とその予測です。世帯収入は世帯主の他、配偶者も含めた月収入・ボーナス、昇給の予測、退職金まで考えます。支出は同様に家族全員分の生活にかかる費用、教育費、車の買い換えなど大きな買い物、旅行費用など、将来にわたって必要だと思われる費用を年ごとにすべて記していきます。

 

そこに、一旦は暫定でも、購入したいと思う住まいの資金計画を並べて入れて、収支予測を完成させます。住宅ローンの借入金額と月々の返済金額のシミュレーションは、アットホームなどの不動産情報サイトで無料コンテンツとして提供されていますから、簡単に算出できます。これを合わせて考えてみると、どの期間ならお金にゆとりがあるからローン返済以外に貯蓄にも回せるかとか、一番教育費がかかる高校受験前から大学卒業までの資金はどうなのか、住宅ローンの借入れを35年で組むと完済時の年齢は何歳なのか、など、現在から将来までの具体的な暮らしが見えてきます。

 

それによって、お金が必要な進学時期には既に妻が復職しているから今家を買ってローン返済があっても大丈夫とか、ローン完済は定年退職の前になるからもう少しゆっくり考えて購入できるとか、反対に返済計画が厳しいから買うならもう一度物件を考え直さないと、といった住まいの購入に対する判断ができてきます。

 

このように、ライフプランを組んでお金をベースにした暮らしの将来予測が立てられれば、住まいの買いどきが見えてきます。これをできるだけ若い年代でやってみると、より早く見通せるはずです。もちろん、年齢が進んで子供が独立した後に家を買い換えるという場合も、老後の資金と合わせたライフプランを考える必要があります。これについても、思い立ったら早めに計画をし始めるといいでしょう。

 

このように、動機・理由を整理しライフプランを立てることは、住まいの「買いどき」を計る上でとても有効です。外的な情報だけに左右されず、自分自身でしっかりと考えて総合的に判断することをおすすめします。

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